「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

 観てきました。平日の昼の回に観ましたが、中高年の方々で大き目の劇場がかなり埋まっていました。アカデミー賞受賞と言うことで観に来たというよりも、年代的に主演のメリル・ストリープのファンが多かったのでしょうか。20代は僕だけだったかもしれません(笑)。

 イギリスの元首相、マーガレット・サッチャーが自分の過去を回想していく、という流れです。サッチャー認知症になっている、ということが娘から公表はされているのですが、「ここまでやるか?」と思ってしまうくらいメリル・ストリープ演じる現在のサッチャーの弱々しさと狂乱が酷いです。オープニング5分でガツンとやられました。

 女が政治家であることの苦悩、家族との確執、戦争への決断など、緊迫しているシーンが多いです。頻繁に現在のサッチャーに立ち返るので、バリバリ働いていた頃と、現在のギャップにメリル・ストリープの凄まじい演技力をまざまざと感じました。

 観るにあたって事前に予備知識を入れておく必要はあまりありませんが、IRAフォークランド紛争、冷戦のあたりは勉強しておくとより面白いかもしれません。特にIRAは全く説明がされないので、どういう団体かくらいかは知らないとおいていかれます。

 良いか悪いかで言えば間違いなくいい映画です。メリル・ストリープの入神の域にある演技をお楽しみください。今回のメリル・ストリープといい、ジョーカーのヒース・レジャーといい、アカデミー賞は化物しかとれないのかと思ってしまいます(笑)。

 
 映画のノベライズ本をぱらっと立ち読みしましたが、本気で酷いです。映画の感動を全て台無しにしてしまっているといっても過言ではありません。僕は脳内からこの本を追い出しますので(立ち読みした分際で失礼とは承知していますが)、この本には目もくれず劇場に向かうことをお勧めします!